糸口心中 (インスタレーション)

昨日、銀座の小柳ギャラリーにいき、束芋さんのインスタレーション『糸口心中』を観てまいりました。 (約4分)

人形浄瑠璃 『曾根崎心中』をテーマとしたものです。

通常、文楽の女の人形には足がありません。

文楽は、3人遣いといって、3人の人形遣いさんが一人の人形を演じますが、(ひとり遣いの人形もあります)

そのうちの足遣いさんが、女の人形の着物のなかで、あしを表現するのです。

ですが、この曾根崎心中のお初には、例外的に、足があります。

それは、お初と徳兵衛が心中を決断するときに、お初の足に徳兵衛が頬をすりつける場面があるからです。

今回のインスタレーションでも、その場面がなまめかしく描かれていました。

お初と徳兵衛の道行がはじまり、ふたりは、月のひかりのもと、死出の旅に出ます。

そうして、この世では結ばれなかったふたりのいのちが、美しい彩の蝶となって、ひらひらと舞い、動くのをやめます。

そうして、時をとめたように、お話は終わります。

蝶。儚いいのち。

この世では結ばれなかったけれども来世ではきっと、と、ふたりは願ったかもしれませんが、
蝶が、別々のところに静かに舞い降りたのをみて、いつの世でも、結ばれることはないのだ、というような解釈で、このインスタレーションはつくられたように、わたしは感じました。

いやー、それにしても、束芋さんのインスタレーション、大好きです。

なんでしょうね。あの、見ている者の皮膚感覚を呼び覚ます感じ。

『油断髪』、もういちど、大きなスクリーンで、観たいなあー

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