『さんさん録』(こうの史代)

こうの史代さんの大ファンです。どの作品もすばらしい。
広島出身、『夕凪の街  桜の国』(原爆を体験した家族がテーマ)を描かれたかた、というと「ああ!」と思いあたる節もおありでしょうか。
今回の『さんさん録』は『夕凪の街 桜の国』とは異なり、こうのさんの真骨頂とも言うべき日常生活マンガ:ささやかな幸せ+平凡さのなかに時折訪れる波乱をみつめたほんわか・しみじみコメディマンガです。
この中で私のこころに刺さったシーンは幾つもあれど、そのなかでも大きなセリフはこれだ!
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主人公参平さんのつぶやき 
「食うために働き 働くために食い 片付けてはちらかし ちらかしては片付け… 生きる事はなんと無為なのだ」
そしたら孫の乃菜ちゃんが
「ならせねばよい  死ぬわけじゃなし」と返します。
(そして家事をサボリつづけた結果、家の中がしっちゃかめっちゃかになり家事はやっぱり必要だと悟る参平さん)
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この参平さんのセリフ、ほどよく長い時間を生きたヒトならみんな感じる瞬間があるんじゃないでしょうか(笑)
自分もよくお皿洗いながら、洗濯物たたみながら、この参平さんのセリフのコマを思い出すんです。
でも、生きてるってそういうことなんだろうな。 
と思ったらそういう繰り返される雑事も無為ではない、と思えてくるんでした。
こういうところを描けるところがこうのさんの凄さです。

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コメント

コメント一覧 (2件)

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    こうのさん、僕も好きです。
    「この世界の片隅に」が特に好きです。
    せりふなしにコマだけで展開する部分が特にいいと思います。

  • SECRET: 0
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    たかさまもこうのさんファンでしたか ^^
    「この世界の片隅に」
    これも名作ですよねーーーー  すごいです。戦争を描き、ヒロインの身近な人の死が出てくるシリアスで重たい作品なのに、ところどころユーモラスな所もあり、ほんとうにこうのさんにしか描けないものだとおもいます。物語が締めくくられてみると、なにか細部まで緻密に編まれた織物を眺めてきたような気持ちになります。
    私も『この世界の』は通読したものの、自分が隅々まで読み込めていないなぁと思うのです。他の方々がこの作品を読んで書いたレビューを読むと、ずいぶん人によって物語(あるいはコマの描写の意味など)の受け取り方が違うようですね。(特に3巻)
    こうのさんの作品は、マンガというより絵巻物に近いのかも…   と今思いました。

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