『陰陽師』(岡野玲子・ 原作 夢枕獏)(白泉社)

『陰陽師』(岡野玲子・夢枕獏)は平成6~17年にかけて刊行され、全13巻で完結した作品です。
途中、刊行予定日を過ぎてもコミックスが出なかったり、
掲載誌が変更になったりとハラハラしましたが、
手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞後堂々完結する運びとなり
本当に嬉しかったです。
何度も読んでいますが、
最近、久しぶりにちびちびと読み返しました。一気に読める作品じゃないんです。
細やかで、繊細で、言葉ひとつひとつにずっしりと手に重たい水晶玉のような意味があり、
実にスケールの大きい作品です。
これを読むたび、わたしは
「こんな自分でも、今ここにいることには必ず意味が有るのだ」と勇気が湧いてきます。
---------------------------------------------
そして、毎度のことながら、第4巻『勾陣』収載の『白比丘尼』を読んでは泣くのです。
なぜこんなに胸を揺さぶられるのか良く分からないのですが、読むたび嗚咽する。
----------------------------------------
…毎回この作品を手にとって頁をひらくことは、私にとって
漫画に対し襟を正す儀式のような意味合いがあります。
漫画とは、このような次元までも描くことが可能な表現手段なのだ、と
感動を毎回新たにし、背筋を伸ばす気持ちになります。
一コマのなかに、幾重にもかさなった時空、何百年、何千年という歳月を描き出すことができる表現。
すごいです。紙の上に、そんな時空を描けるんですよ。
ほんとうに漫画というのはスゴイ。
そういうことを、感じさせてくれる作品です。
-------------------------–
☆注意書☆
ただし、主人公は‘陰陽師’ですので、霊的なもの、呪術、そういったものが苦手なかた、
徹底したリアリストには読むのがつらい内容かなと思います。
全てのマンガ好きにおすすめするつもりはありません。
それと、この原作は2度ほど映画化されていますが、ハッキリ言ってあの映画は○作です(蒼白)
主人公を演じた野村萬斎さんはイメージぴったり!!!でしたし、
さすが狂言師の宗家の子、幼少の砌より芸事を叩き込まれ鍛え抜かれたかたですので、
所作も発声も何もかも美しく見事でしたが、
そもそもシナリオに無理がありました。。。
(´・ω・`) …
脇を固める役者にも無理が… 
誰とは言わぬが、何も所作が出来ず、
画面に出てくるだけでその場をぶち壊している若いアイドルもいました。(←しずしずと歩く
こともできないんで呆れた)
ちなみに小泉今日子、夏川結衣は良かったですよ。
あの映画を見て幻滅したかたもいるかとおもいますが、映画と  原作&漫画は完全に別物です。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェア頂けると嬉しいです!よろしくお願いします
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (4件)

  • SECRET: 0
    PASS: 8a68c3bae30ac3d05b9bedc30c0bdf30
    夢枕獏さんの原作は出てすぐに読んでました
    それが漫画になるとは到底思えず 読んでびっくり
    原作とは別物 漫画ってすごいと思いました
    どちらの世界も両立してお互いの存在がより高めあってるかのような印象でした
    最終巻は神懸り的ですね
    映画は観てませんw

  • SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ひぇー このマンガお読みになったんですね?!
    守備範囲広!(ΦωΦ)
    正直私は女性数学者が出てきた時点でかなり混乱したのですが^^;
    何度か読んで何とか収まりをつけた感じです。
    岡野作品では『コーリング』が好きで、この『陰陽師』につながる流れを感じます。
    あーー 映画は観なくても(以下略

  • SECRET: 0
    PASS: 8528a91f55d3f21ab5c8d140cc3982f8
    いつぞやは、コメント返信どうもありがとうございました。
    陰陽師、私もマンガを全巻持っていますよ。
    原作も、全部ではないですが読みました。文章の間合いが好きです。
    月岡芳年といい、どうも本の趣味が似ているようです……

  • SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    『 陰陽師』の原作はほとんど読んでいないんです^^;
    なんかあの漫画と平行して読む気になれなくて。
    完結からだいぶ時間が経ったので、そろそろ、別物として原作を読んでみようかな
    とおもいます。
    そういえば、まだ漫画連載中だったと思いますが、東京の国立小劇場に雅楽を聴きに行った時、
    ロビーで、岡野玲子さんと夢枕獏さんが一緒にいるのを見かけましたよ!!
    想像していたより、お二人ともすごく小柄だったので
    ちょっとびっくりしました
    でも只ならぬオーラが出ていて、人混みの中ですぐ目にとまりました(^.^)

コメントする

目次