『竹光侍』(松本大洋)(原作:永福一成)

松本大洋氏の描く時代劇『竹光侍』も第七巻が出て、謎めいた主人公瀬能の出自も明らかになり、いよいよ物語が終わりに近づいている。先が読みたくてたまらないけれど、終わってしまうのもとても残念…
それにしてもこの人の絵がどんどんどんどん進化してゆくのが凄いとおもう。それはあの『バガボンド』の井上雄彦氏の進化の仕方とはまた違う。
松本大洋氏の個性において非常に大きなもの、それは「詩的」であることだとおもう。
どんなに烈しい暴力や憎しみを描いても、かならず「詩的」なのだ。私が深く愛する作品『0(Zero)』においてリング上で発狂してしまうボクサーの悲惨な物語でさえそうだ。
『竹光侍』には、幸福感に満ちたキャラクターは一切出てこず(猫や犬でさえ生きる哀しさを味わっている)、お侍が主人公の時代劇であるから血腥い場面がいくつも出てきて沢山の人が死ぬ。
しかし、読むたび心に残るのは小さく優しくきらめく結晶のような輝きなのだ。
このような独特な世界を描ける人は松本大洋氏以外にはいないと思う…。。
物語が松本氏の脳のなかで再構築され、紙の上に絵としてアウトプットされるまでのプロセスがもう神秘としかいいようがないのだけれど…   
ずっと考えているが、やはり「愛情」が深いということなのかな、と思う。生きとし生けるもの全てへの愛情。「生きること」をありのまま受け容れること。
その愛情の深さがあのような凄まじくも優しい世界を生み出す原動力となっているのかもしれない。

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コメント

コメント一覧 (4件)

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    すけどの
    大洋はそこからきていたの?

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    うわ!!        
    その通りです(^o^;)  (なんなのこの間は)
    ダメモトでロボコンに打診したらあっさり承認された上、画数もびっくりするほど良かったので…
    ぷぷぷ
    (ロボコンなんて「武 豊」の「豊」を考えてたからねー;困ったもんだ)

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    因みにうちのブログスキンなんですが、、、
    友達に「松本大洋」みたいにしてくれ!って
    頼んだら、、、ちょっとニュアンス変わっちゃいました(笑)

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    そ、そうだったんですか!銀玉さんもファンだったんですね~
    リクエストは、「松本大洋の描く街みたいなのにして」というリクエストだったのでしょうか?『鉄コン筋クリート』の町みたいな?
    ブログすきん、「松本大洋的」とは一味ちがうかもしれませんが、銀玉さんの世界にすごく合ってる感じがします。細かーーーーーいトコロまで凝ってるのも!

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